正しい食生活について

 人間の健康において食事はもちろん非常に重要ですが、いろんな側面を持っています。ここでは栄養としての側面、アーマの生成に係る側面、毒素の摂取に係る側面、邪気の取り込みに係る側面から考察します。

A .栄養としての側面について
 食事から正しく栄養を補給し、活力(オージャス)を得る為には、自分の体質にあった、自分の優位なドーシャに適した食事内容を工夫することが必要です。
 一般的なアーユルヴェーダでは、食べ物を6種類の味(甘味、酸味、塩味、苦味、辛味、渋味)で分類し、味のドーシャへの影響を開示しています。そして食事ごとに6種類の味のものを全て食し、しかも自分の優位なドーシャや一時的に上昇しているドーシャが過度にならないよう、指導されています。確かに食品を味により分類し、それに基づいて食品を選択することは、とても簡単に出来る方法で、ある程度は有用です。
 しかしながら味による分類では、判定し難い食べ物や例外などもあります。また優位なドーシャにおいて、肉体とエーテル体に分けて考えず、ごっちゃ混ぜにしています。さらにヴァータを陽性と陰性とに区別して考察されていません。よってある人に合う食物の選択において、かなり曖昧で不正確になっており、実際にはどのような食事内容にすればいいのかが判り難いのが現状です。
 ここで竹下雅敏氏によりこの部分が詳しく開示されていますので、その概要を説明します。図1に示すように、中央のラインで陽と陰に分かれ、左側が陽性で右側が陰性です。ですからピッタは陽の性質で、カファは陰の性質であることが判ります。またヴァータは、ラインで二つに分けられ、左側が陽の性質(太陽のヴァータ)で右側が陰の性質(月のヴァータ)です。


 体質と食品の相性を説明しますと、相性の良いのは、人と食べ物の優位なドーシャの関係が陽と陰の組み合わせである場合です。最も良い相性は、陰陽の組み合わせでしかも対角関係にある場合です。つまり太陽のヴァータとカファか、ピッタと月のヴァータの組み合わせになります。次いで、同じ陰と陽の組み合わせでも、並列関係にある場合です。つまり太陽のヴァータと月のヴァータか、ピッタとカファの組み合わせになります。ただしこの陰と陽の組み合わせは、肉体とエーテル体の両方で成立して初めて、人と食品の相性が良いとなり、その人が積極的に食べるべき食品となります。
 例えばある人の優位なドーシャが、肉体は太陽のヴェータで、エーテル体は月のヴァータであるとします。その人に相性の良い食べ物は、肉体がカファでエーテル体がピッタ又は太陽のヴァータである食べ物か、肉体が月のヴァータでエーテル体がピッタ又は太陽のヴァータである食べ物となります。
 特に肉体がカファで、エーテル体がピッタである食べ物は、最も相性が良い食べ物です。例えば魚類一般はそれに当たります。またこの人にとっては、逆に両身体とも同性(陽と陽または陰と陰)の関係にある食べ物は、相性が悪く、食べ過ぎないように注意する必要があります。
 各種食品の、肉体とエーテル体における優位なドーシャに関しては、シャンティ・フーラさんが提供する竹下雅敏氏の東洋医学セミナーをご覧ください。

B.アーマの生成に係る側面について
 食事において、食物が上手く消化、吸収、代謝されないと、栄養を得ることが出来ないだけでなく、アーマという未消化物を生成し、それは病気の原因となります。従って食事が、しっかり消化、吸収、代謝されるように気をつけなければなりません。
 食事の消化、吸収、代謝は、アグニの状態に依存しますので、アグニの機能を損なわないように注意することと、その時のアグニの状態に応じた食事をすることが大切です。具体的な注意事項(「ファンタスティックアーユルヴェーダ」蓮村誠著、住宅新報社より)を下記に挙げます。
1.まずできるだけ決まった時間帯に食べるのが基本である
 胃や腸の食物を消化する働きは、ヴァータが制御しています。食事の時間が不規則だとヴァータの乱れが生じ、上手く胃や腸が動かず、結果的にアグニを落としてしまうことになります。ただし体質によって若干異なりますので、前述のドーシャ別1日の過ごし方の表を参考にしてください。
2.食事時にお腹が空いてない場合は、食事を抜くか少食にする
 空腹感を感じない時は、アグニが十分に整っていないことを意味しますので、お腹が空くまで食べないようにするか、食事の量を大きく制限します。
3.白湯や生姜などを用いて、アグニの活性を高める
 白湯(さゆ)は、食事中にすするようにとることで、消化が促されます。白湯は、ドーシャバランスがよく、それ自体の消化に負担がなく、アグニを活性化すると言われています。ただし食前や食後に大量に飲むのは逆効果になります。また生姜は、アグニを高め、消化を促進する作用があり、食前に取ることが薦められています。
4.食事中、食事の前後に冷たい物を飲まない
 冷たい飲み物は胃の中を直接冷やします。これによって消化の火であるアグニの機能を弱めますので、できれば一口、二口喉を潤す程度にしておきましょう。
5.昼食を主にして、朝食と夕食は軽めにする
 朝食と夕食はカファが優位な時間帯ですので、あまりたくさん食べたり、重い物を食べないように心掛けます。昼近くになるとピッタが優位になり、ピッタはアグニの活性を上げますので、たくさん食べたり、重い物を食べることも可能となります。ただし体質によって若干異なりますので、前述のドーシャ別1日の過ごし方の表を参考にしてください。
6.落ち着いた気持ちで、座って食事する
 ばたばたと忙しない状態で食事をすると、体はヴァータやピッタが上がってしまいますから、最初に上がるべきカファが一向に上がらず、消化が鈍ります。初めに上がるカファにより粘液が分泌され、食物が柔らかくなることが消化には不可欠です。最初にカファが上がらないと、延いてはアグニの活性を落とすことになります。
7.食事は甘い物から食べ始め、苦い物・渋いもので終わる様にする
 消化力が一番強い食べ初めのうちに、重い物、油っこい物、甘い物、濃厚な固形物など、消化のしにくいものを食べるようにします。中程では消化力を上げる為に、酸っぱい物や塩辛い物、辛い物を食べます。最後に消化力が落ちていても消化できるように、軽くて、乾燥した苦い(又は渋い)味の物、あるいは液状のものを食べるようにします。
 「食事の前に甘い物を食べると、食事が食べられなくなるからいけません」と親が子によく言いますが、消化力を要する甘いものは、最後に食べるより消化力のある最初に食べる方が理に適っています。
8.食後の昼寝はしない
 寝るという行為は、カファを増加させます。食後は、普通カファが上がるようになっています。ですから寝てしまうと、カファが上がり過ぎてしまうので、消化が鈍り、アーマができ易くなります。
9.就寝2時間前からは何も食べない
 少なくとも寝る二時間前には、食事が終わっているのが理想的です。睡眠中は、一日に食べた物が細胞レベルで代謝されてエネルギーや組織が作られるのです。胃に食べ物が残っていて、体の消化力(ピッタ)が胃に集中してしまうと、細胞での代謝力(ピッタ)が落ちてしまい、細胞で代謝しきれずに、アーマができてしまいます。
10.夜8時以降に物を食べない
 夜の8時以降に食べた物は、少なくとも10時以降まで胃の中に残ります。すると10時以降に上がるピッタが胃に集中し、日中食べた物が細胞で代謝されずに、アーマとして残留、蓄積されてしまいます。
11.食後は数分の休息の後、軽く散歩する
 食後5分間は話もしないで、静かに座る様にします。すると食後カファが上がる本来のリズムが出てきます。その後は軽い散歩をします。これは5分から10分程度の軽い物で、決して運動になってはいけません。軽く散歩することでピッタを誘導することが目的ですから、運動をしてヴァータを上げてはいけません。運動だけでなく神経を使う勉強や仕事も食後40分ぐらいはしないようにします。
12.一口ずつゆっくり食べる
 おかず、ご飯、漬物、味噌汁など別々に一口ずつ食べ、口の中で味を混ぜないようにします。こうすると食べる速度がゆっくりになりますし、自分に合わない味を多食することがなくなります。ごっちゃ混ぜに食べていると味覚が鈍り、本当に美味しく感じることが出来なくなってしまいます。食事の楽しみが半減し、味よりも量に偏ってしまいます。
13.よく噛んで食べる
 噛むという行為は、消化の第一段階です。これを疎かにすれば、自ずから消化が鈍るのは当然です。しっかり噛むことは、消化を助け、食事に満足感を与え、アーマの生成を防ぎます。できたら一口に20回から30回噛むようにします。

C.毒素の摂取に係る側面について
 近年の食品は、食品添加物(着色料、防腐剤、合成甘味料、乳化剤、安定剤、合成旨味成分等)、残留農薬、また遺伝子組み換え食品、さらに電子レンジなどの電子調理器により変質した食品など、毒素が食品に含まれることが非常に多いのが現状です。このような毒素を含む食品は、できるだけ食べないようにすることが大切です。
 もし食べたからといって直ちに健康障害がでることはないかもしれませんが、遺伝子を傷つけたり、体のどこかに蓄積して悪影響を及ぼすことが予想されます。

D.邪気の取り込みに係る側面について
 前述の邪気への対策のところで述べたように一般的には意識されませんが、邪気は食事の中にも入り込んでいます。食事の中に邪気があると、食するとともにその邪気を体に取り込むことになります。
 これは、人が受ける邪気として、大きな要因の一つですから、食事は邪気の少ないものを食べるようにすることが大切です。


 「正しい食生活について」における参考文献等
 ■竹下雅敏「東洋医学セミナー」 中級・上級
 ■竹下雅敏 映像配信「幸せを開く7つの扉(2)邪気への対処」
 ■「大いなる生命学」 青山圭秀著、三五館
 ■「インドの生命科学アーユルヴェーダ」上馬場和夫・西川眞知子著、農文協
 ■「ファンタスティックアーユルヴェーダ」蓮村誠著、住宅新報社

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